オススメマンガ『洗礼』

 

洗礼 1 (フラワーコミックス)

洗礼 1 (フラワーコミックス)

 

 

 

 

 

ホラーは嫌いな人が多い。

その気持ちはよくわかるのだけれども

それで読まないのはもったいないと思う。

ホラー作家というのは全くたいした心理学者である。

例えばこの話がそうだ。

 

私は楳図かずおというのは

『ヘビおばさん』や『猫少女』のように

ただ単にグロテスクな気持ちの悪い物語を

描くだけのマンガ家だとばかり思っていた。

 

小学生の頃は、怖いもの見たさで読んでいて

決して好きというわけではなかった。

 

この話も全然知らなかったんだけれども

大人になって読んで非常に衝撃を受けた。

 

この話が昭和のマンガだったということ自体

非常に驚きで、これほどの心理的洞察に

富んだ話がよくこんな時代に

存在したものだとつくづく感心した。

 

私は個人的には彼の最高傑作だと思う。

その点では意見が分かれるかもしれないけれど。

 

 

実力のあるマンガ家らしく、楳図かずおは多作家で

このほかにもそれなりに面白い作品が多くある。

 

珍しく前向きな漂流教室、晩年の名作『14歳』

他にも神の左手悪魔の右手』、『おろち』、

『私は真悟』等々

見落としがたい名作がある。

 

わたしは真悟 文庫版 全7巻 完結セット (小学館文庫) [コミックセット]

漂流教室 全6巻 完結セット(文庫版)(小学館文庫)

神の左手悪魔の右手 文庫版 コミック 全4巻完結セット (小学館文庫)

14歳 コミック 全20巻完結セット (ビッグコミックス)

ねがい (ビッグコミックススペシャル)

おろち(1) (ビッグコミックススペシャル)

 

短編でもかなりの名作を描いており

『ドアのむこう』や『蟲たちの家』『愛の奇蹟』

『イアラ』『ねがい』

などなど必読で

ドアのむこう (小学館文庫―イアラ短編シリーズ)

ねがい (ビッグコミックススペシャル)

イアラ

愛の奇蹟 (小学館文庫―イアラ短編シリーズ)

蟲たちの家 (ビッグコミックススペシャル 楳図パーフェクション! 3)

ほんとに読まないのはもったいない。

 

さて、この話は母と娘の物語というもので

美しかった元女優がドンドンと老いて醜くなり

そのことに耐えられず自分の娘を

作って自分の脳みそを娘の脳みそと取り替えて

もう一度人生をやり直そうとする話である。

 

ホラー物語らしいトリックが用意されており、

「人間の脳みそを移植できるわけがない」

登場人物の先生が言うその時から

いったい手術をした医者は何者だったのかというところから

この洗礼のテーマが浮かび上がってくる。

 

ラストまで読めばそういうことだったのかと驚くだろう。

ここをネタバレするのは非常にもったいないので

ぜひ読んで確かめることをお勧めする。

 

そしてこの話は1回だけではなく2回読むことをお勧めする

1回目と2回目では全く物語の印象が違って

見えることだろう

 

2回読めばこの話のすごさがわかるはず

あえて解説をするのは野暮だろう。

実によく考えられた話だ。

 

 

これもまたヒマつぶしに読むというには惜しい名作マンガの1つである。 

 

洗礼 全4巻 完結セット (文庫版)(小学館文庫) [マーケットプレイス コミックセット]

洗礼 1 (フラワーコミックス)

 

 

 

洗礼 1 (フラワーコミックス)

洗礼 1 (フラワーコミックス)