オススメマンガ『風と木の詩』

 

 

 

風と木の詩 (1)

風と木の詩 (1)

 

 

 

 

 

このマンガもまだ読んだことのない人はぜひ!

 

やはりこのマンガを紹介しないというわけにはいかない。

 

手塚治虫の次にすごいマンガ家は

この竹宮恵子だと私は思っている。

ところが意外と知られていない。

 

このマンガ家を見つけたときには

あと何年かは充分楽しめるぞと思ったものだ。

 

しかし何年かどころかこのマンガ家を

超えるマンガ家を

現在に至るまでついに

見つけることはできなかった。

 

 しかしかなり好き嫌いが分かれる話だと思う。

何しろこの話は初っ端からかなり激しい性描写がある。

 

しかも男同士のと来ているので友達に勧めると

かなり嫌がられたものだ。

 

 BLの元祖といえる話だろう。

 

  

しかしそんな嫌がる友達も最後まで読むと

ものすごく感動してしまい泣いてしまったと皆が言う。

 

アマゾンの誰かのレビューにもあったけれども

1回目読んだ時は何とも思わなかったけれども

3回目まで読んだときにはもう号泣しすぎて

息ができなかったという

 

私もそれぐらいの衝撃と感動がこの話を読んだときにはあったものだ。

 

 

話は2人の主人公となる少年の話では

それぞれ全く正反対の性格を持っている。

この2人の少年同士の恋愛を描いた話なのだけれども。

 

 

マンガというか物語の根本的な面白さって

やっぱり人間ドラマにあると思う。

 

この作者はそういう話を扱うのが非常にうまい。

 

なぜこの2人がうまくいかないのか。

それを2人の生い立ちからわざわざえがいて

読者に納得のいくように展開していく。

 

何しろ主人公の父親の話まで長々と描かれており

主人公が2人もいるのに登場しないまま

ずっと巻数が続いていく。

 

大変に気合が入った話である。

しかも面白さが衰える事がない。

このマンガ家の力量の高さがうかがえる。

 

大貴族の息子として全く自由奔放なまま

生きてきたけれど両親に育てられてないので

愛情に飢えているジルベールという少年と

 

愛する女性と一緒になりたいが

その女性が娼婦だったために

周りから結婚を大反対され

地位も財産もすべて捨て

かけおちする父を持つ、セルジュという少年。

 

 

様々な恋愛観と人生観がとにかくこの話の魅力。

 

主人公のセルジュの父アスラン

貴族の地位を捨てて愛する女性と

駆け落ちするのだが

もともと体が弱かったこともあり

病気になって死んでしまう。

 

そして彼と結婚した元娼婦の女性も

その病気が感染して死んでしまう。

 

しかし彼らは

これで良かったのだと

自分たちの選んだ道を少しも後悔することはなかった。

 

そんなアスランパパが、駆け落ちした女性に

 

『僕が君に犠牲を払ったのではない。

僕こそ君に莫大な犠牲を払わせたのだ。

もっと美しい、もっと幸せな人生がおくれたかも

しれないのに君は僕を選んでしまった。』

 

『地位も財産もなげうって

僕に残ったのは僕自身だけ。

だとしたら君はこんなちっぽけな支払いに

満足したということになる。』

 

そして

『人を愛するという事は、

自分が犠牲を払うということではない。

相手に払わせるということなのだ』

という言葉があるが、これが後半になるとじわじわ効いてくる。

 

 

主人公2人は全く自分を曲げることができない性格である。

果たして自分らしく生きることを選ぶか、

それとも自分たちの愛を貫けるのか、

それがこの話のクライマックスになっている。

 

 

はてなブログでちょっと前、『1番好きなマンガのキャラは?』

というお題があって、すぐに私はこの主人公の名前が浮かんだ

『少年の名はジルベール。』

 

『マンガで1番好きなキャラが頭にすぐ浮かぶのは幸せだ』

と書いてあったけど何を意味しているのかはよくわからなかった。

 

 でも確かに1番好きなキャラはと聞かれると

意外とすぐに浮かんでこないものだ。

何人か浮かんでくるんだけれども

『待てよ1番好きかどうかはよくわからないな』って思ったりする。

 

とにかく登場人物を魅力的に描くマンガ家である。

このマンガを知らないのは

非常にもったいないと

いうよりも、もうそれは人生を

損しているというくらいに

私には感じられる。

 

というかこのマンガ家を知らないのは

人生を損していると思うくらい。

 

 

 

 

風と木の詩 (1)

風と木の詩 (1)