オススメマンガ『ギャラリーフェイク』

 

 

ギャラリーフェイク(1) (ビッグコミックス)

ギャラリーフェイク(1) (ビッグコミックス)

 

 

 

 

『開運なんでも鑑定団!』のマンガ版だと思えばいいだろう。

様々な美術品をめぐってのドラマを扱ったマンガである。

 

私としては非常に面白いマンガだと思ったのだが

意外と賛否両論のあるマンガのようだ。

 

とにかくウンチクが多いマンガなのでそれで

好き嫌いが分かれるのかもしれない。

 

 

ヒマつぶしに読むというには惜しい傑作である。

 

ヒマつぶしには確かに向いているのだが、

そのヒマつぶしが病院の待合室で読むとか

入院中に読むとかが向いている。

ちょっと変な例えだけど。

 

とにかくイヤな時間を何とか乗り切りたいという時に向いているマンガだと思う。

 

というのもちょうど私がそんな状態の時に巡りあったマンガだったので。

病気の時は、ホラーとかあんまり読みたくない。

だからといってギャグマンガを読む気分にもなれない。

 

それなりに真剣に読めてかつ深刻になりすぎない。

そんなマンガが欲しい時にめぐりあい、ちょうどいいと思った。

 

『ありがたい!32巻もあるぞ!』と思ったものだ。

病気の時間を何とか乗り切れるのではないかと思って

ちょうど32巻を読み終わる頃に病状も回復してきたので

本当にこのマンガには支えられた。

 

作者がマンガ家をやる前は鑑定士だったのかと

思うくらい美術関係に詳しいことにびっくりする。

 

美術が芸術方面だけでなくまるで探偵方面のような

ミステリーに満ちていることに驚かされてしまう。

 

例えばフェルメールに憧れて彼の偽物を作るうちに

それを本物だと思ってしまう人たちによって

無名のメーヘレンという画家が次第に有名になっていく話とか。

(実話)

 

他にも偽物を作るのではなく

本物を2つ作るという『相剥(あいはぎ)』という方法とか。

 

それは墨の染み込んだ半紙をタテに2つにさいて

本物を2つ作るという技法で

全く知らなかったんで『へえぇ〜』と思ったものだ。

 

『アイディアというか悪知恵の

働くヤツっているもんだなぁ』と。

 

 32巻は長いと思うのならば

アニメから入るのもいいだろう

アニメはアニメで面白い。

 

  これだけうんちくの多い話だとなかなか読むのは

難しくなってくるけれどその辺、アニメは音楽の入れ方とか

そこだけ画像をちょっと変えてみるとか、

いろいろ工夫をしていて

マンガより受け入れやすいところがある。

 

ただやっぱり原作の方が面白いというのは

原作ものの常に変わらぬ法則である。

 

なぜかマスターキートンを思わせる話でもある。

マスターキートンと違うのはアクションとはあまり関係がなく、

しかしマスターキートンにくらべると脇役がけっこう面白いと思う。

 

 美術品が好きなあまり、怪しげな手で

取り上げてしまう国宝Gメン、知念とか、

 

美術界にはびこる悪を

徹底的に糾弾する美人館長の三田村小夜子。

 

非常にいい人のため

悪徳画商である主人公の藤田と何かと対立してしまう

地蔵とかこの辺のキャラクターは割と魅力的である。

 

あまりに美術関係に知識豊富なマンガなので

ちょっと他にないオンリーワンのマンガかなと思う。

 

 ちなみにこのマンガの作者は『さすがの猿飛

の作者でもあることを知って

非常に驚いてしまった。

 

 何しろ作風も絵もまるで違う。

 

  人生の途中で何かあったのかと思ってしまった。

私は子供の頃あのマンガが非常に好きだったので、

本当に同じ作者かと何度も確認して

しまったくらいだった。

 

ギャラリーフェイク(1) (ビッグコミックス)

ギャラリーフェイク(1) (ビッグコミックス)