オススメマンガ・ヤヌスの鏡
魅力的なマンガである。
昔ドラマになってかなりヒットを飛ばしたらしいが
最近またドラマ化するらしい。
根強い人気があるのかもしれない。
ただ、私は、絶対に原作マンガの方が出来が良いはずと
私は思っている。
二重人格の主人公の性格を描いたサスペンスドラマである。
怖いおばあちゃんの言うことを
聞くことしかできないおとなしい『ひろみ』という
主人公が、ある日突然、『ユミ』という
全く反抗的な少女に変わってしまうという話である。
二重人格の話は今となっては珍しくは無いけれど
これは発表当時には非常に斬新だった。
この話の秀逸な件は、ドラマの展開もそうだけれども
洞察力に優れた心理描写にある。
サスペンスやホラー作家ってどうしてこんなに
心理洞察に優れているのだろうかといつも不思議に思う。
二重人格のもう1人の主人公のユミは言う。
「だれでも、自分の目というフィルターを通してしか
物事を見ることはできないのだから。それぞれ愛したいと思うものを。憎みたいと思うものを。
表面だけをキレイに映す鏡のように。」
そして
「本当の事なんて誰にもわかりはしない」と、言う。
「本当っていうのは、本当っていう言葉と、
本当って信じてる心があるだけよ」と。
確かに、二重人格というものが本当に存在するなら
どっちが本当の人格かなどというのはナンセンスになる。
他の人間になっている記憶がないのなら
その人間がその時に生きているといえるのだろうか。
「 生きていること自体が夢でないとなぜ言える。」とまでもユミは言う。
しかし、現在の精神医学界では多重人格は認められていない。
人の人格というものは長い年月をかけて形成されるもので
瞬間的に変更するようなものではないというのが結論になっている。
だが昔から『イヴの総て』などの多重人格を扱った映画などもあって、こういう
症状や出来事は世界の各地にある。
よくできた短編も同時収録されているので、読んだことのない人はぜひ。