名作とはなぜ『名作』なのか・おすすめ名作『青い鳥』

 

 

青い鳥 (新潮文庫)

青い鳥 (新潮文庫)

 

 

青い鳥』はあまりにも誤解されているの

   でだいぶ前から気になっていた。

 

誰でもこの話を知っているけれども

正確に理解している人はほとんどいない気がする。

 

結論から言えば、

この話は日常にこそ幸せがあるという話ではない。

もっと複雑なテーマの話である。

 

だけどこの話はほとんどの人がそう思ってしまっている気がする。

どうして日本人というのはそういう方向に話を持っていってしまうのだろうか。

 

 

 

 

 

この『青い鳥』というのが

幸せというものを象徴しているのは確かだ。

 

だからこの話が『幸せとは何か』ということをテーマとしているのも確かである。

しかしそれは日常こそが幸せだという話ではない。

 

 

物語の筋はほとんどの人が知っているので

解説からすぐに始めていこうと思う。

 

わかりやすく結論から言ってしまえば

これは幸せというのは物の見方、捉え方、感じ方から来るということである。

 

 物語は主人公のチルチルとミチルの

隣の家のベルランゴおばさんの娘が病気になったことから始める。

その病気を治すためには青い鳥が必要であると言う。

 

そしてこの1番初めの部分から

実はチルチルとミチルの青い鳥は

登場しているのである。

 

チルチルは「青い鳥ならウチにもいる」と言う。

しかしベルランゴおばさんは

あれはあんまり青くない。」と言う。

そこでチルチルとミチルは青い鳥を探しに出かけるのである。

 

しかしこの青い鳥こそが

結局最後に出てくる青い鳥である。

ということも誰でも知っている。

 

 しかしなぜ最初に登場したときに

「あれはあんまり青くない。」ということになるのだろうか。

 

 それは実はこれが本当の青い鳥であるということを

見抜く能力が彼らにないということを表している。

 

何が本当の青い鳥か、

つまり何が本当の幸せかということについて

彼らは見抜く力がまだないのである。

 

つまりそれを見抜く能力を

手に入れるための物語なのだ。

 

物語には実は青い鳥がいっぱい出てくるのである。

そして捕まえるたびに途中で赤い鳥になったり黒い鳥になったりする。

 

つまりこれは本当の青い鳥では無いということだ。

 これらの試行錯誤をチルチルとミチルは何度も何度も繰り返さなくてはならない。

 

 

  そして結局いろいろがんばってみたけれども

青い鳥を捕まえることができなかったということで

家に帰ってみるとそこで探していた青い鳥をついに見つける。

 

青いとは何か、つまり幸せとは何かということを

見抜く能力をつけたために

青い鳥はここにいたということを

理解することができたという事なのだ。

 

しかしこれは家の中にこそ幸せが

あるという単純な話をテーマにしたものではない。

 

例えば分かりやすい話として、

子供の頃はコーヒーやお酒やタバコなど

おいしいどころかマズイと思う。

大人はなぜこんなものが好きなのか

『これの何がいいの?』と思う。

 

ところが大人になってしまうと

『こんなにうまいものがまたとあろうか!』

いうくらい夢中になってしまったりする。

 

コーヒー好きはコーヒーの道具を集め、酒好きは

何万円もする酒に金を払うようになる。

 

こういう経験は大体の人にあるだろうけれど

しかしこれが名画とか名音楽とかはたまた名作とかに

なるとどうだろうか。

『これの何がいいの?』ということが結構多くあるのではないだろうか。

 

先日、『開運なんでも鑑定団』を見ていた時に

絵の具をぶちまけたような絵が出てきて

その絵がかかっている病院の看護師たちは

これの何がいいのかさっぱり…でも

いつもそこにあったので』と

まさに青い鳥のような話が出てきた。

 

 そんな看護師たちに対して院長だけが

「これを描いたのは並の画家ではない。」とかなり確信を持って語っていた。

 

そしてこれが非常に有名な画家のもので、

すごく高額な値段が出たので『ほらみろ』と言わんばかりに

「君たちももっと絵を見たまえ。」とドヤ顔で院長は語っていた。

 

つまりそういうことなのだ。

たとえ素晴らしいものが目の前にあったとしても

それを理解する能力がなかったらそこには

何もないのと同じになってしまうのである。

 

そしてこの院長の言う通り

そういったものを見抜くには

訓練というものが必要なのだ。

 

一見すると、青い鳥は家にいた、というのは『なーんだ』と思うような

単なるオチに見えてしまうかもしれない。

 

しかし、高価な絵や骨董品が家にあるのに

全く気づかずスルーしてしまうという事実もザラにある。

 

ゴッホの絵は今でこそ

何十億円という金額で取引されているが

生前に公式に売れたのはたったの1枚である。

(『赤いぶどう畑』という絵である。)

 

それまで個人的にプレゼントしていたりした

彼の絵は鳥小屋の穴を塞ぐために使われていたなど

悲惨な扱われかたをされていた。

 

青い鳥が家にいた、というのも重要ポイントだ。

幸せというのは探しに行くような『出来ごと』ではなく

自分のものの捉え方にある。というのが

この話の最終的な結論と言える。

 

 

そして、チルチルとミチルはめでたく青い鳥を捕まえ、

ベルランゴおばさんの娘の病気は治って

チルチルとミチルの下に元気になって走ってくるというところで

エンディングに至る。

 

 

 *訳者の堀口大学も明らかにこの話をやはり例の如く誤解しており、その為彼の訳は所々間違っていると思う。私は『青い鳥』を別の訳者で持っていたが、引っ越しの際に失くしてしまい詳細が思い出せずその本を紹介出来ない。 m(_  _)mスマソ

 

メーテルリンクは「一見何の変哲もないこの青い鳥は哲学書の1ページを翻訳するより難しいのですと言っている」しかし邦訳をした何人かが「原作には矛盾点があって訳文の中で修正した」というようなことを書いていて、自分たちの解釈のほうに何か問題があるとは考えないのだろうかと思ってしまう。

 

*最後青い鳥が飛び立ったということになっているラストとそうでないラストがあるのだが内容からすると飛び立ってしまった方が正しいと思われるがとにかく訳者によって物語が違ってしまっていることが多い。

 

青い鳥 (新潮文庫)

青い鳥 (新潮文庫)

 

 

 この『青い鳥』の前身となった話がこの『青い花』という物語である。

これは、ノヴァーリスという詩人が書いた話で、夢で見た美しい青い花

追いかけるという話で、古典の名作である。

 

青い花 (岩波文庫)

青い花 (岩波文庫)

 

 

 

 

 

リップクリームのマイベスト

 

 

 

メンソレータム リップベビーナチュラル 無香料 4g

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冬になると手も荒れるし、唇も荒れる。

 

なのでハンドクリームとともに

リップクリームも欠かせないものになる。

 

これは去年イトーヨーカドー

出会ったものなのだけれども何度かリピートしている。

 

リップクリームをリピートするのは私にしては珍しくて、というのも

リップクリームってちょうどいいものが

どうもあまりない。

 

やたらとこってりしているものがいやで、

オリーブオイルなどを塗っていた。

 

オリーブオイルは私の肌に合って

ちょうどいいのだけれども

液だれしてくるのでもう少し何とかならないかなぁと思っていた。

 

なので、これに出会ったときにはとてもうれしかった。

塗るとどんな荒れもピッと唇が整って、その後飲み物を

飲んでもあまりコップにつかない。

 

こういう、ちょっとしたところがなかなか気になるので

あまりリピートできるものがなかった。

 

これは無香料のものだけれども

他にゆずの香りとかチェリーの香りとかいろいろあるらしい。

 

唇は、いちど端っこのところが切れたりして

なかなか治らない時は結構厄介だったりする。

 

なので、自分に合うものが一個でもあると重宝する。

 

リップクリームのセカンドベスト 

 

 バーツビーのリップクリームは非常にメンソレータムの香りが強く、

唇がむしろ荒れるのではないかと思う位スースーしているのだけれど

非常に効果が高い。

 

ただこれは外国製品なので

その辺のドラッグストアで手に入るようなものではなく

しかもバーツビーは日本から

撤退してしまったらしいので

手に入りにくくなってしまった。 

 

 というわけで最近は毎日これを使っている

メンソレータム リップベビーナチュラル 無香料 4g

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メンソレータム リップベビーナチュラル リッチゆずの香り 4g

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最近の地獄

 

 

  全く食事をしなくなってから4日経ってしまった。

今日、ようやくそばを食べて食事らしい食事をした。

去年から大変な状態が続いてしまい、どうやって生きているのか

我ながら不思議になってしまう。

 

 

なのでブログの更新が遅れている。

テレビで、あるうつ病の人が『座ることができずに

ずっと立ちっぱなしである』と言っていた。

 

「そうしないと凄まじい不安が襲ってくる」のだと言う。

私はうつ病ではないけれど、ある精神病で

全く同じ症状でずっと立ちっぱなしなので

ブログの更新どころではなくなってしまう。

 

何しろイスに座ることができない。

 

食べ物どころか水を飲むのも割ときつい。

なので今年の夏は死ぬほど暑かったので非常に心配だった。

 

どんなに頑張っても毎日コップ半分の水くらいしか飲めなかった。

 

しかし、人というのは切羽詰まって本当に困ると

自分でも驚くような奥の手を考えだすことができる。

 

 

 

まず唇を湿らせる。

水を飲むようにコップでまず唇を湿らせて

それをひたすら繰り返すと唇の水が自動的に

口の中に流れていくので結果的に飲むのと同じ事ができる。

 

あと絶対オススメしないが

酒を飲むと何でもできるようになるので

どうしても酒に頼るようになる。

 

水も飲めないのにどうやって酒が飲めるのかと言われそうだが

それもまた人というのは困ると自分でも驚くような

奥の手を考えだすことができる。

 

 

ほとんど無味無臭の焼酎を水でものすごく薄めて

ひたすら飲んでいくと、いつの間にか酔ってくるので

その後はもう何でもできるようになるのである。

 

立つことも座ることももちろん、

あるくことも食べることもできるようになるので

どうしても酒に頼るようになってしまう。

 

しかし最近、酒すら飲むことができなくなってしまい

眠ることも食べることも非常に難しくなってしまった。

 

ただ私は食べることに関しては実はあまり心配はしてなかった。

というのは人は太るのは簡単だけれども痩せるのはものすごく難しい。

ほんのちょっと食べるだけですぐ太るものなのである。人によるけど。

 

栄養がどうとかいう問題を

度外視すればそうそう死なないだろうと思っている。

ゲットーに入れられたユダヤ人の少年が(確かエリ・ヴィーゼルの『夜』だったと思うが)「人というものは長く食べなくても意外なほど死なないものだ」という言葉があったけれどもきっとそうだろうなと思う。

(注・所詮素人の言う事で何もあてにならないし、絶対に真似をしないでください。

 

けれど、水を飲まないとわりとすぐ死んでしまうらしいので

水だけは割と欠かさないようにしている。

 

オーストラリアか どこだったか忘れたけれども、ある少年が牢屋に入れられて

その存在を忘れられてしまい、水すら与えられなくて

2週間位で死んでしまったという事件があった。

 

 なので人は食事をしなくても割と死なないけれども

水を飲まないとわりとすぐ死んでしまうようだ。

 

とりあえず今日何とか食べることができるようになったけど。

丸4日食べなくても死なないだろうと思ってはいても

やはりこうも長く食事ができないと恐怖心が強くなる。

  

 

 

 

 

 

味噌こし器のマイベスト

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 我が家のみそこし器はもうずっと

何十年もこれである。

 

なので一人暮らしをしたときにこれを使うのだとばかり思っていた。

 

しかしスーパーに味噌こし器を買いに行ったとき

初めてあの小さな金魚すくいのような

アミでみそをこすのだということを知り

非常に驚き買ってみたところとても使いづらかったので

さらに驚いてしまい、実家のこれがどうしても欲しくなってしまった。

 

 

 はっきりいってこれぐらい

大きいものでないと

味噌をこすのはとてもめんどくさい。

なのでこれくらいの大きさのものを使うことをおススメ。

 

 一般的なあの小さな金魚すくいのアミのような

味噌こし器を使ってみたが

あまりに使うのがめんどくさかったので

さっさと放棄してしまった。

 

これぐらい大きいと場所を取るのではと思うだろうし

その通りなのだけれども。

 

これぐらい大きいと、逆に手つきのザルを

使っているのと同じ感覚で味噌だけでなく

ザルがわりに使えるので

いろいろと便利である。

 

 

 ちょっと茹でた野菜とか1人分の麺を上げるのにも役に立つ。

 

 

対してあの小さい味噌こし器はほとんどみそをこす以外の

用途には使えないと思う。

 

短期間しか使ったことがないので詳しくはわからないけれど。

 

 

 

 

『5時に夢中』になぜか夢中

 

 

9チャンネルで

毎日5時にやっている『5時に夢中』になぜか夢中。

いつもBGMがわりに聴いている。

 

最近ようやく年末年始が終わって

いつものテレビ番組になってきて

ちょっとほっとしている。

 

いや年末年始はそれなりに面白い番組が

やってはいるんだけれど。

 

『芸能人格付けチェック』なんて結構楽しく見ることができるし

あれ毎年楽しみにしているんだけど

どうして正月にしかやらないんだろうといつも思う。

今年こそガックンが転ばないかなと期待してる。

 

 『5時に夢中』とはこういう番組


5時に夢中!2019年01月07日

 

今日放送された『5時に夢中』で

5ジムが心の支えなので年末年始がとても辛かった」と

いう人がいたんだけどすごくその気持ちがよくわかる。

 

    毎日必ずこの番組を予約しているので

それをつい忘れてしまうと軽くパニックになってしまう。

 

この番組がないと1日が始まらない。

 

いや別にそんなに面白いっていうわけでもなく

このくだらなさがいいというか、とにかく人というものは

気軽に接することができる何かが

あるのがすごく大切なんだなということに改めて気づいた気がする。

 

9ちゃんに似たような番組の『バラ色ダンディ』があって

それも見ているんだけれどもやっぱり5ジムでないとダメなんだ〜。

 

何がいいって

やっぱりふかわりょうの司会がいいんだよね。

うまいよなー、と思う。

あとやっぱりマツコデラックスは面白い。

 

『プレバト』とか『開運なんでも鑑定団』とか

すごく好きなのでもっと増えて欲しいと

思うんだけれども週一しかやらないので

毎日『5時に夢中』に依存してしまっている最近

 

 

名作とはなぜ『名作』なのか。おすすめ名作『アナと雪の女王』

 

 

アナと雪の女王 (字幕版)

アナと雪の女王 (字幕版)

 

 

 

アナと雪の女王 (吹替版)

アナと雪の女王 (吹替版)

ジブリはわかるけどアナ雪って何?」

とマツコデラックスがテレビで言ってたのを聞いたとき

これは日本人の多くが思ってることだろうなと思った。

 

空前の大ヒットを飛ばした「アナと雪の女王」。

あの名作は何をもって『名作』というのか

多くの人にはピンとこなかったのではと思う。

 

アナ雪は日本では大いに誤解されていると思う。

なぜこれがアカデミー賞をとるほど評価されるのか

さっぱりという人も実は多いだろう。

 

一見すると家族仲良くしようという話にも見える。

しかしこの話はそんな単純なものではなく

大変奥深く格調高い話である。

 

なので批評してみようという気になった。

 

大ブームとなった「レリゴー」。

映画公開されるまでに『ありのままの〜♫』のメロディーが

あちこちに流れたほどだ。

 

主人公のエルサは

自分の超能力が妹を傷つけてしまい

それがトラウマになり、ひきこもって自分を封じ込めようとする。

そこから話が始まる。

 

エルサの妹であるもう一つの主人公アナ。

彼女は傷つけられたものの何ら恨んでいるわけでもなく

姉と何とかうまくやろうと苦心する。

 

しかし実は彼女はトラウマを持ってしまっている。

彼女の髪は一房だけ白くなってしまう。

画面をよく見ればわかるだろう。

 

頭は簡単に変えられるが心を変えるのは難しい。」と謎の妖怪が言う。

「夕飯なに食べた?」と聞かれると意外と思い出せない。

しかし好きな食べ物などはそうそう変わらない。

 

 

       本人の心は環境が変わってもそうそう変わらないもの。

   アナは自分が傷ついたことを覚えてはいないが、

実はトラウマになって残っている。

 

自分を抑えているのも限界に達し、エルサは山奥に逃げてくる。

そこでありのままの自分でいる喜びを見いだす。

 

      この歌詞が一般的で親しみやすいけど下の方が正確な訳らしい。

確かに意味が違ってくる。 

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そこで彼女は女王である事を表すマントを脱ぎ捨て、王冠を投げ捨てる。

君主でいるよりもありのままの自分でいる方が

大事なのだということが表現されているのは間違いない。

 

「どこまでやれるか自分を試したいの」と言うように

思う存分力を発揮し自分の城を築きあげる。

 

これがエルサの出した答えである。

 

たとえ一人きりであろうともあるがままの自分を選び

「少しも寒くないわ」とその表情も態度もふっ切れたように迷いがない。

     ここで、エルサの話は一旦終了する。

 

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もう1人の主人公アナ。

この話ではエルサが非常に脚光を浴びているので

アナの存在が霞んで見えるが

アナはエルサに負けず劣らず重要である。

ここからはアナの活躍を見ていこうと思う。

 

 エルサを追いかけるアナは残念ながら彼女の問題を軽く考えすぎている。

何とかなるでしょう』と言わんばかりに

「だって姉さんだもの」と言う

エルサの力は思う存分発揮したために

どんどん世界が冬になっていき夏だったはずの世界が猛吹雪で荒れ狂ってしまう。

軽く考えてはいてもアナも

『何とかせねば』とは思っている。

 

「もうなんでこんなに寒いのよ」

と、アナは山小屋の店に入る。

 

そこで「日焼け止めいらないか?」と勧められる。

猛吹雪の中、もちろん日焼け止めなどいるはずもない。

しかしこのエピソードは割と大事である。

 

およそ映画作りというめんどくさいことに

気合を入れる人々が

無駄なシーンなど作るわけもない。

どんな意味があるのだろうか。

 

日焼け止めとは主に夏に使うものだ。

つまりこの世界は本来今夏なのである。

 

この世界を冬にしてしまったのはエルサである。

暴走気味のエルサの力がついに夏までも冬にしつつある。

 

ここまでくれば冬を代表しているのはエルサとわかる。

ならばその姉を止めようとするアナは

正反対の夏の世界を代表していると言えないだろうか。

 

ゆえにこの話はダブルヒロインなのである。

 

ここに突然やってくるのは

クリストフという氷業者である。

 

氷業者という時点で

彼は冬の世界の人間であることがわかる。

 

 「氷は素晴らしい」と言うギャグ主張をする。

ここで彼が自分の仕事に忠実な

人間だということがわかる。

 

ここで1番最初のシーンを思い出してみよう。

それは氷を切り崩しているシーンだ。

それを少年時代のクリストフがうっとりと見ている。

 

何しろ1番最初のシーンは

観客が1番注目するところだ。

それが大事でないはずはない。

氷にどんな意味があるのだろうか。

 

氷といえば思い浮かぶのはエルサである。

氷はエルサの大事な何かを表していると言えないだろうか。あるがままの自分こそが何よりも大事と言うのはエルサの答えである。

 

何よりも大事なもの、

変えられないもの、変えてはいけないもの、

硬いもの、砕けないもの、

これこそが氷の表しているものである。

 

つまりエルサの出したあるがままの自分というものこそ

最も大事なもの、

すなわち砕けない氷が意味しているものである。

 

アナと雪の女王と言う題名は日本のもので

原題は『Frozen』(フローズン)である。凍っているものとでもいうべきだろうか。

 

そこから連想されるものはやはり氷の魔法を操るエルサである。

しかし彼女は魔法をコントロールすることができず

力を暴走させてしまい、夏のはずがFrozen、

冬になってしまったのである。

 

つまりこの世界全体がバランスを崩しているのだ。

ここまでくれば話のテーマが見えてくる。

 

アナと雪の女王』とは

二人の君主が自分たちの国を治めるのに

ふさわしい資質を手に入れるための

苦闘を描いたドラマだということを。

 

エルサの出したあるがままの自分というものこそ最も大事なもの。

すなわち氷が意味しているものである。

 

そうするとアナの存在はなんだろうか。

最も大事なものはこれだという答えが出た以上、もうそれでいいはずだ。

 

 なのに世界はバランスを欠き、ハッピーエンドになっていない。

ここで冬とは何かという話を離れて夏とは何かという方向に目を向けてみよう。

 

ここでオラフという雪だるまと出会う。

雪だるまである以上、冬の存在である事は確かだ。

にもかかわらず冬よりも夏が好きという謎の歌を歌う。

 

雪だるまなのだから夏になったら

溶けてしまうにもかかわらず冬よりも夏が好きというのは

雪だるまである自分を否定するようなものだ。

 

   しかもこのオラフという雪だるまは

エルサによって生み出された存在だ。

エルサはあるがままの自分こそが最も大切だと言う。

 

にもかかわらず生み出したオラフは夏が好きと言う自己否定的な歌を歌う。

わかってくる事は夏と冬の両方の持っているのが理想らしいということ。

 

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   冬だけの存在、夏だけの存在ではダメらしい。

なら問題が解決しないのは

エルサが冬だけの存在、

アナが夏だけの存在でいるからでは

ないのかという方向に進む。

 

しかし正反対の存在をどうやって手に入れるのだろうか。

 

 アナとエルサはようやく再会する。

しかし、アナはけんもほろろに追い払われる。

冬はますます猛威をふるい

ついにエルサは国にとって

危険人物とみなされとらわれてしまう。

 

ともに憎み合っているわけではないのにともに追い詰められてしまう。

 

全てを解決するカギ、

それは『真実の愛』であるらしいと

いうことをアナは知る。

 

しかしアナは自信を失いかけ、

力なく真実の愛どころか「愛が何かもわからない…」とつぶやく。

 

彼女は愛が全てを解決すると思い

結婚を誓い合ったハンスとキスしようとする。

ところがハンスは彼女を愛してなどおらず

アナを騙しうまく利用しようとしていたことを知る。

 

愛し合っていると思っていたハンスに裏切られ、

結局エルサともうまくいかない。

 

アナは少しずつ希望を失っていく。

そして彼女のひと房だけ白かった髪はだんだんと全体に広がってゆく。

 

かつてのトラウマが蘇り、いつの間にか本人自身を蝕んでいるのだ。

不吉な兆候がアナに起こっている。

 

彼女はもはやどうして良いか分からず

ただ1人の自分の味方である男、クリストフの名を呼ぶ。

 

そしてクリストフも駆けつけるが

その瞬間ハンスがエルサを殺そうとするのアナは目撃する。

 

アナはクリストフと抱き合うのを思いとどまりエルサを助けに走る。

 

その瞬間、完全に絶望し凍りついてしまうけれど

その時にこそ『真実の愛とは自分よりも

相手を大切に思う事』ということを

まさにここでアナは実現することができるのだ。

 

そしてエルサを殺そうとする刃は砕け散る。

まさにクライマックスにふさわしいワンシーンである。

ここで見落としやすいのが冬の勢いが止まることである。

 

エルサの力がここでまるで何かに気づいたかのごとく変わるのである。

そこの時にこそ全てが変わる。だが一体何が変わったのだろうか。

 

エルサはアナの愛の深さに涙し彼女を抱きしめる。

すると凍り付いていたはずのアナがみるみる元に戻る。

 

「そう…愛よ」

と言った瞬間に真冬だったはずの国に

一気に夏が戻ってくる。

 雪はやみ、空が現れ、花が咲き、鳥が歌う。

 

愛とは、共に尊重し合うこと、共に喜び、

互いの違いを認め合う。

 

「あるがままの自分」が否定される事は許されないのだから

それは決して自分だけの問題ではない。すべての人間の問題なのだ。

 

だから「あるがままの自分」と「真実の愛」はセットでなければならない。

 

決して片方だけであってはならない。

だからこそこの話はダブルヒロインになっている。

 

非常に整合性のとれた実によく考えられた格調高いストーリである。

 

正反対のものがセットになるからこそ本当のハッピーエンドが訪れるのだ。

 

冬だけ、夏だけであってはならない。

「あるがままの自分」を認めるからこそ他人のそれも認めなければならない。

「ありのままの自分」であればこそなのだ。

 

このことが意外と注目されなかったような気がしてならない。

レリゴー」に比べて「真実の愛」というものが

クライマックスに至らしめたにもかかわらず

いまいち話題にならなかったように思われる。

 

正直、製作側のエルサびいきを感じる。

エルサが自らの答えを出したとき

美しく生まれ変わり新しい自分となったときに

話の顔ともいえる歌を歌ったのにアナには何もない!

 

アナもまた新しく生まれ変わり

真実の愛」を象徴するような

重要な歌があってしかるべきだと思う。

 

そしてエンディングには、

その2つを統合したような第3の歌を歌ってもらいたい。

ここまでやるスタッフなら

そこまでやってもらいたいものだ。

 

ところで今日「アナと雪の女王」がテレビ放送される。

奇しくも同じ日にブログを書いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名作とはなぜ『名作』なのか ・オススメ名作マンガ『モンスター』

 

 

 

Monster (1) (ビッグコミックス)

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MONSTER 全18巻 完結コミックセット(ビッグコミックス)

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 今までの長いマンガ(読むだけ)人生の中で

最高の一作である。

『とうとう『風と木の詩』を超える話に出会ってしまったか…。』と思った。

 

これほどのマンガに出会えるのは

もうこれからの人生にはひょっとしたらないかもしれない。

 

なので人にもとてもススメやすい。読んだことのない人はぜひ!

何しろ誰がどこからどう読んでも面白い話だと思う。

作者は言わずと知れた浦沢直樹

 

 

『パイナップルアーミー』を読んだ時は

面白いけどこれ以上のものはもう出ないだろうな』と思っていた。

 

 

パイナップルarmy 1 (ビッグコミックス)

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しかし『マスターキートン』が出て、おお!と思い

しかし『これ以上のものはさすがにもう出ないだろうな』と思った

 

 

MASTERキートン 1 完全版 (ビッグコミックススペシャル)

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しかし!この『モンスター』が出てきて『どんだけえ〜!!!』と

うれしい悲鳴があがった。

 

マンガの面白い要素が全てそろった話だと思う。

しかもその要素のひとつひとつがどれも最高レベルである。

 

ドラマチックな展開、テーマの面白さ、

人間の心理の奥深さ、脇役のちょっとしたいい話、

魅力的なセリフやキャラ

これらの全ての出来が良い。

 

ところでこの話も名作の例にもれず、

すっっっげええわかりにくい!!!

 

ただ、わからなくても別にいいというか、わからなくても

充分面白く読めるようにできている。

 

ストーリー自体がとてもドラマチックなので

テーマまでわからなくても面白く読めるのである。

しかしやっぱりわかればより面白く楽しめる。

 

話はある連続殺人犯を助けてしまった医師の話である。

 

彼は天才外科医で、ある市民より重要人物を手術することになってしまい

そのために助けられたはずの男を死なせてしまい、

男の妻に責められ、人の命は皆平等という思いを

強くしていく。

 

そしてある日、知らずに連続殺人犯の

少年を手術してその命を救ってしまう。

そのため殺人事件が再び起こるようになってしまい

自分が命を助けたせいだと思い、彼を殺すために

その殺人犯を追っていくというのがこの話である。

 

   その旅の途中で様々な人のエピソードや

誰かの命を助けるために手術をしたり

それらの話が中心になっている。

 

この物語をわかりやすくしているのが

  コーヒーに砂糖をたくさん入れるのが

好きな男の話である。

 

 非常に涙もろくて映画好きで

しかし実は元殺し屋の男である。

 

 

彼の最後のセリフ

人殺しなんて簡単だ。砂糖の味を忘れればいい。」

という言葉がある。

 これは一体どういうことか。

 

彼は言う。

「俺が一体何人殺したと思う。実は俺もよく覚えてないんだ。

   それが仕事だったんだ。仕事をやり遂げれば、ほうびがもらえた。」と。

 

しかし彼は自分が殺そうとしてる男が

自分と全く同じようにコーヒーにいっぱい砂糖を

入れているのを見て殺す事ができなくなったと話した。

 

「そんなもんだ。そんなもんで俺は人を殺せなくなった。」

それは一体どういうことか。

結局何の共感もしていない、

相手のことを何とも思っていないから

殺す事が簡単なのである。

 

しかし、何らかの理由で共感してしまう。

自分と相手は同じ人間なのである。自分と同じように

喜び悲しみ人生があると思うと

殺す事は難しくなる。

 

だから

「人殺しなんて簡単だ。砂糖の味を忘れればいい。」ということになる。

 

相手が自分と同じ人間なんだということを

感じなければ人殺しは簡単なのだ。

 

稀代の連続殺人犯の命を助けてしまった医師はついに彼と会う。

そして彼は言う。

ぼくはあなたに命を助けられた。

あなたにとって命は平等だったから。

でももう気づいたでしょ?

誰にとっても平等なのは死だけだ。」

 

死は誰にでも訪れる。

だから平等である。

そこには人の意思というものが入らない。

感情というものがない。

 

だから死は平等なのである。

 

主人公の医師はいろいろな人の命を助けるが

彼のことは殺そうと思って追いかけてくる。

 

命は平等だと信じているのにこれは

完全に矛盾している。

 

こっちの人は助けるけれども

こっちの人を殺そうとする。

それは全く平等ではない。

 

 そこには人の意思というものがあるから。

大事なものがあるから。

愛しているものがあるから。

人間にとって最も大事なものは

何かというのがこの話のテーマなのだ。

 

あくまでも人の命は平等でなければならないと思う

主人公の医師が

最後にとった行動がこの話の

クライマックスになっている。

 

ただこのラストにはかなり賛否両論があって

しかもこのシーンの評判はどうにも悪かった。

 

 

ただ私はこのラストになるのは当然のことだと思ったけれども。

 

いずれにせよ死ぬ前に読むべき一作に絶対に入る。

年末年始がヒマな人にはオススメ。

 

全18巻は長いというならアニメから入るのもいいかも。 

やっぱり原作の方がいいけど、

アニメの出来は悪くない。

 

「何も足さない、何も引かない。」となぜかウィスキーのCMみたいな

宣伝をしていた。

確かにアニメはほとんど原作のマンガ通りである。

 

しかし、原作厨の私は『なぜそのセリフを省く?』とやはり

若干の不満が残った。

 

それにしても、これほど好きな話なのに

わからないところがまだまだあって

困るのだけど、だからこそ

いつまでも楽しむことも出来るのである。

 

これはオマケで つけてしまった。

この話に出てくる謎の童話。

なまえのないかいぶつ (ビックコミックオリジナル)

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m.youtube.com

 

 

 

これはもちろん浦沢直樹の作った童話である。

ちょっと引用させてもらってしまった。m(--)m  謝々

 

 


めのおおきなひと くちのおおきなひと

 

 

 

Monster (1) (ビッグコミックス)

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MONSTER 全18巻 完結コミックセット(ビッグコミックス)

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