名作とはなぜ『名作』なのか ・オススメ名作マンガ『モンスター』

 

 

 

Monster (1) (ビッグコミックス)

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MONSTER 全18巻 完結コミックセット(ビッグコミックス)

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 今までの長いマンガ(読むだけ)人生の中で

最高の一作である。

『とうとう『風と木の詩』を超える話に出会ってしまったか…。』と思った。

 

これほどのマンガに出会えるのは

もうこれからの人生にはひょっとしたらないかもしれない。

 

なので人にもとてもススメやすい。読んだことのない人はぜひ!

何しろ誰がどこからどう読んでも面白い話だと思う。

作者は言わずと知れた浦沢直樹

 

 

『パイナップルアーミー』を読んだ時は

面白いけどこれ以上のものはもう出ないだろうな』と思っていた。

 

 

パイナップルarmy 1 (ビッグコミックス)

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しかし『マスターキートン』が出て、おお!と思い

しかし『これ以上のものはさすがにもう出ないだろうな』と思った

 

 

MASTERキートン 1 完全版 (ビッグコミックススペシャル)

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しかし!この『モンスター』が出てきて『どんだけえ〜!!!』と

うれしい悲鳴があがった。

 

マンガの面白い要素が全てそろった話だと思う。

しかもその要素のひとつひとつがどれも最高レベルである。

 

ドラマチックな展開、テーマの面白さ、

人間の心理の奥深さ、脇役のちょっとしたいい話、

魅力的なセリフやキャラ

これらの全ての出来が良い。

 

ところでこの話も名作の例にもれず、

すっっっげええわかりにくい!!!

 

ただ、わからなくても別にいいというか、わからなくても

充分面白く読めるようにできている。

 

ストーリー自体がとてもドラマチックなので

テーマまでわからなくても面白く読めるのである。

しかしやっぱりわかればより面白く楽しめる。

 

話はある連続殺人犯を助けてしまった医師の話である。

 

彼は天才外科医で、ある市民より重要人物を手術することになってしまい

そのために助けられたはずの男を死なせてしまい、

男の妻に責められ、人の命は皆平等という思いを

強くしていく。

 

そしてある日、知らずに連続殺人犯の

少年を手術してその命を救ってしまう。

そのため殺人事件が再び起こるようになってしまい

自分が命を助けたせいだと思い、彼を殺すために

その殺人犯を追っていくというのがこの話である。

 

   その旅の途中で様々な人のエピソードや

誰かの命を助けるために手術をしたり

それらの話が中心になっている。

 

この物語をわかりやすくしているのが

  コーヒーに砂糖をたくさん入れるのが

好きな男の話である。

 

 非常に涙もろくて映画好きで

しかし実は元殺し屋の男である。

 

 

彼の最後のセリフ

人殺しなんて簡単だ。砂糖の味を忘れればいい。」

という言葉がある。

 これは一体どういうことか。

 

彼は言う。

「俺が一体何人殺したと思う。実は俺もよく覚えてないんだ。

   それが仕事だったんだ。仕事をやり遂げれば、ほうびがもらえた。」と。

 

しかし彼は自分が殺そうとしてる男が

自分と全く同じようにコーヒーにいっぱい砂糖を

入れているのを見て殺す事ができなくなったと話した。

 

「そんなもんだ。そんなもんで俺は人を殺せなくなった。」

それは一体どういうことか。

結局何の共感もしていない、

相手のことを何とも思っていないから

殺す事が簡単なのである。

 

しかし、何らかの理由で共感してしまう。

自分と相手は同じ人間なのである。自分と同じように

喜び悲しみ人生があると思うと

殺す事は難しくなる。

 

だから

「人殺しなんて簡単だ。砂糖の味を忘れればいい。」ということになる。

 

相手が自分と同じ人間なんだということを

感じなければ人殺しは簡単なのだ。

 

稀代の連続殺人犯の命を助けてしまった医師はついに彼と会う。

そして彼は言う。

ぼくはあなたに命を助けられた。

あなたにとって命は平等だったから。

でももう気づいたでしょ?

誰にとっても平等なのは死だけだ。」

 

死は誰にでも訪れる。

だから平等である。

そこには人の意思というものが入らない。

感情というものがない。

 

だから死は平等なのである。

 

主人公の医師はいろいろな人の命を助けるが

彼のことは殺そうと思って追いかけてくる。

 

命は平等だと信じているのにこれは

完全に矛盾している。

 

こっちの人は助けるけれども

こっちの人を殺そうとする。

それは全く平等ではない。

 

 そこには人の意思というものがあるから。

大事なものがあるから。

愛しているものがあるから。

人間にとって最も大事なものは

何かというのがこの話のテーマなのだ。

 

あくまでも人の命は平等でなければならないと思う

主人公の医師が

最後にとった行動がこの話の

クライマックスになっている。

 

ただこのラストにはかなり賛否両論があって

しかもこのシーンの評判はどうにも悪かった。

 

 

ただ私はこのラストになるのは当然のことだと思ったけれども。

 

いずれにせよ死ぬ前に読むべき一作に絶対に入る。

年末年始がヒマな人にはオススメ。

 

全18巻は長いというならアニメから入るのもいいかも。 

やっぱり原作の方がいいけど、

アニメの出来は悪くない。

 

「何も足さない、何も引かない。」となぜかウィスキーのCMみたいな

宣伝をしていた。

確かにアニメはほとんど原作のマンガ通りである。

 

しかし、原作厨の私は『なぜそのセリフを省く?』とやはり

若干の不満が残った。

 

それにしても、これほど好きな話なのに

わからないところがまだまだあって

困るのだけど、だからこそ

いつまでも楽しむことも出来るのである。

 

これはオマケで つけてしまった。

この話に出てくる謎の童話。

なまえのないかいぶつ (ビックコミックオリジナル)

なまえのないかいぶつ (ビックコミックオリジナル)

 

m.youtube.com

 

 

 

これはもちろん浦沢直樹の作った童話である。

ちょっと引用させてもらってしまった。m(--)m  謝々

 

 


めのおおきなひと くちのおおきなひと

 

 

 

Monster (1) (ビッグコミックス)

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MONSTER 全18巻 完結コミックセット(ビッグコミックス)

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